独学の弁理士講座BBS 437316


BBS判決とパリ5条D

1:ヴェテラン受験生 :

2024/05/07 (Tue) 23:14:24

お世話になります。

BBS判決とパリ5条Aとの関わりについて疑問があります。

BBS判決では、
「我が国の特許権者又はこれと同視し得る者が国外において特許製品を譲渡した場合においては、
特許権者は、譲受人に対しては、当該製品について販売先ないし使用地域から我が国を除外する旨を譲受人との間で合意した場合を除き、
譲受人から特許製品を譲り受けた第三者及びその後の転得者に対しては、
譲受人との間で右の旨を合意した上特許製品にこれを明確に表示した場合を除いて、
当該製品について我が国において特許権を行使することは許されないものと解するのが相当である。」
と判事されています。

一方、パリ5条Dでは、
「権利の存在を認めさせるためには,特許の記号若しくは表示又は実用新案,商標若しくは意匠の登録の記号若しくは表示を産品に付することを要しない。」
と規定されています。

BBS判決における譲渡人から特許製品を譲り受けた第三者及びその後の転得者に対しての権利行使のために、特許製品に販売先等から我が国を除外する旨を明確に表示することと、
パリ条約5条Dにおける権利を存続させるために産品への特許表示を付すことを要さないこととは、
一見すると矛盾するようにも思えます。

これは、パリ5条Dは、権利存続のための規定であって、権利行使の可否とは別であるという理解で良いでしょうか。この論点についての他の議論や解説がありましたらご紹介頂けると幸いです。
2:内田浩輔 :

2024/05/09 (Thu) 12:34:39

権利の存在と、権利行使の可否とは別であるという理解で良いです。
他に議論があるという話は知りません。

なお、パリ条約5条Dは、特許権者が特許表示をしなくとも権利の存在を否定されないことを規定しているだけです。
例えば、特許表示をしない場合に、損害が認められない等のペナルティを科すことは条約に反しません。

また、「販売先等から我が国を除外する旨」を明示しない場合でも、特許権自体は否定されないので、パリ条約5条Dには反しません。
3:ヴェテラン受験生 :

2024/05/13 (Mon) 01:32:20

ご回答ありがとうございました。
スッキリしました。

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